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東京ちんこ倶楽部 〜哀しみのLast dance〜

生。社会。すべてが、ちんこ。

青春の終わり

三十数年生きてきて、自分の中でなにかが終わったと感じる瞬間は多々あったが、今日青春が終わったと、ふと街を歩いていて感じた。
大学に入った20歳のころは東京に出てきたばかりということもあり、街で目にするあらゆるもの、そして街そのものが目新しく刺激的で、夜がふけるまで街をぶらぶらしていた。古着屋や古本屋や中古レコード屋が店を開けている時間にはそれらを覗いて回り、店が閉まってからはチェーンの喫茶店で本を読みCDを聞いていた。
サークルにも所属したがぼくの青春は大学のキャンパスにもましてやサークルの部室にもなく、街の中にあった。毎日電車を降りる駅を変えては街をくまなく見て回った。何度歩いた街でも、一週間でも日をあければ飽きることなく歩くことができた。
でもぼくは自分がなぜそうして街を歩いているのか正確な理由を知ることができなかった。もちろん街からの刺激を楽しんではいたがそれだけでは説明がつかない執拗さがあった。今考えると、ぼくの若さには行き場がなかった。勉強にしろ、サークルにしろ、エネルギーのすべてを使って打ち込むことができなかった。それがなぜかは分からなかったが、理由が分からないぶん、溜まった力の使い道がないことに苦しんだ。そしてぼくはぼくの力のほとんどすべてを、街を歩くことで過ぎていく時間の中に流しこんでいた。
要するに青春を浪費していただけの話で、生産性という点ではまったくの無だった。ぼくは自分がそんなことでしか自分自身をなだめ慰めることができないのを苦々しく思っていたが、それと同じくらいに強く、自分はこういう人間に生まれついたのだ、自分は世の中に無いのと同じだ、幽霊みたいなものだ、そしてこれは仕方がないことなのだという思いを抱いていた。
このような限りなく諦念に近い思いを抱きながら自分の住む部屋に帰らず悶々として街をふらつくのがぼくにとっての若さの証明であったが、だんだんと部屋に帰って休みたい気持ちに足が負けるようになってきた。それがぼくにとっての青春の終わりだと感じた。