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東京ちんこ倶楽部 〜哀しみのLast dance〜

生。社会。すべてが、ちんこ。

真夜中の死

どうしようもない疲れと虚無感に包まれている。会社からの帰りに街を歩いていた。そのとき、ふと、ぼくが深夜に会社で倒れたら、そしてそのときぼくがオフィスに一人だったらと考えた。おそらくぼくは誰にも知られることなくこの世を去り、翌朝になって、最初にオフィスにやってきた不幸な誰かが、ぼくの死を見つけるだろう。
東京は、真夜中でも、眩しいほどに明るい。星のまたたきも見えない白い空の下、コンクリートのビルの片隅で、サーバーの静かなノイズがなる中で、ぼくは息絶えるだろう。
自分自身が望んでいなくとも、ぼくは勝手に死んでいく。最期にふさわしい死に場所でなくても、ふとそこで、存在をやめてしまう。
ぼくのマンションのある町からは、西新宿の高層ビル群が、よく見える。砦のように、白い光が連なっているふちに、真っ赤なライトが、ぽつぽつと並んでいる。それらのビルの足元には大きな道路が網の目のように張り巡らされていて、ぼくの住む町へとつながっている。この静かな住宅街には古い緑を残した庭がいくつもあり、歩いているだけで人々の生活の匂いが穏やかにただよってくる。新宿や渋谷や池袋や上野の繁華街では夜通し人々が酒を飲んで連れ歩き、やかましく騒ぎ立てている。もちろん、ぼくと同じように煌々とした蛍光灯のあかりの下で遅くまで働いている会社員もいる。東京には人々のあらゆる営みがあり、どんな町だってある。ぼくは東京に包まれたまま、存在することをやめ、静かに都市の一部になる。