福岡市文学館 (東京ちんこ建築)
福岡市文学館は九州随一の大ピンク街である中洲の端の川向いにある。
東京駅や大阪市中央公会堂の設計で著名な辰野金吾の建築事務所が設計を担当している。
もとは日本生命の九州支社であったがいろいろあり現在は文学館として使われている。しかし文学館があるのは広い館内にただ一室のみである。
建築に疎い私のような者でも一目で「あぁ辰野」と語りだすことができるほどに辰野金吾らしい建築である。(辰野建築は他に東京駅、大阪市中央公会堂、京都の三条あたりで見ることができる。)
本館とは別に便所棟なるものがある。竣工当時から便所として使われていた建物である。そして現在でも便所として使われている。これはなかなか珍しいことらしい。
便所棟は天井が非常に高い。しかし、男子便所と女子便所は壁一枚でへだてられているのみで、その大事な壁が中途半端な高さで途切れている。もしも身長が2メェトル半くらいあれば女子便所が見えてしまいそうだ。まるで古い銭湯のような趣(おもむき)がある。
階段が鉄骨製で無骨な印象を与えており、アァルヌゥボゥの影響が見られる優美な室内とのコントラストが美しい。官営八幡製鉄所が近かったはずだが、当時の技術力では大型の鋼材がつくれず、イギリスから輸入したものを使用しているとのこと。そして螺旋階段がある。エレガンスのためには覆われてしまうような工学技術がむきだしのままで使用されており、独自の野趣がある。
ぼくはここに辰野式の工学技術へのリスペクトを感じた。そう思うと、階段や暖炉に見られた円形の独特な意匠も蒸気機関の一部のように思えた。それを同行者に伝えたが、「違うんじゃない」と一蹴された。
外観
解説
玄関
日本生命時代の受付
受付から中へ入る扉
階段まわり、特に螺旋階段
便所棟へ
便所棟の天井
特徴的に感じられた意匠