証券会社に入社するんです
新宿の 路地 ぼくは カフェバーで 喧騒にまみれ 1人で ビールを飲み 煙草を吸っていた
デーブル席もあったが カウンターで 静かに 飲んでいた
ぼくの右手には 若い女が 左手には 若い男が 座っていて 携帯の画面を 見ていたが その目が なにか 別のものを求めていることは 明らかだった
左にかけていた男が 話しかけてきた
大学四年で 暇なんです と 彼は言った
彼は 証券会社に 入社するのだと 言った
証券会社に 入社するのだと 言った
やがて ぼくは 彼に別れを告げ バーを出た
そして気づいた バーのあった路地は 坂道であった
ぼくは 新しい喧騒を求めて 坂道の路地を 下っていった