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東京ちんこ倶楽部 〜哀しみのLast dance〜

生。社会。すべてが、ちんこ。

蛇口から水が…

  営業が一段落したので喫茶店で昼食をとることにした。駅のそばに古めかしい構えの店があり、そこに入った。店内は思いのほか広かった。明らかに勤め人ではないとわかる老人達が何人か、なぜかスーツを着て席についていた。
  ぼくはそこでホットサンドとコーヒーのセットを頼んだ。そしてしばらくは頭の中で午前中の営業を振り返っていたが嫌になりやめた。休憩の時間まで仕事のことを考える気分にはなれなかった。鞄に詰めていた本を取り出して読み始めたらちょうど食事がきた。本を閉じ、サンドを口にいれ、コーヒーを飲んだ。苦いコーヒーだった。
  会社に将来があるのか考えていた。サンドはすぐになくなった。プレートにはレタスとスパゲティものっていたのでそれも食べた。すぐになくなった。
  考えれば考えるほど会社の先行きは怪しかった。そしておそらくぼく自身の将来も同じことだった。ぼくはコーヒーを飲み、煙草を吸い、本を読んだ。でも集中することができなかった。
  コーヒーが半分残っていたが、店を出ることにした。会社に戻らなくてはならなかった。ホットサンドを手に持って食べていたので、水で流しに手洗いにいった。それは階段を上がった二階にあった。
  蛇口をひねると勢いよく一筋の水が流れだした。ソープをつけて手を洗ったあとも、ぼくはそれをずっと眺めていた。