かわいい。しかし、くさい。 写真は、葛西臨海公園水族園で撮影したものである。
いとこの家に来ていた。内装から、その家がイギリスの田舎風の古い木造だったことがわかった。いとこの兄弟がいた。ぼくは部屋の中をぶらぶら歩いていた。ぼくと同い年の上のいとこは白い布をかけたソファに寝そべって本を読んでいるようだった。部屋を出る…
高架線脇の道路を歩いていた。電車が走る音がした。高架線の反対側には飲み屋に混じって若者向けの古着屋がぽつぽつと並んでいた。静かな昼間で、人通りは少なかった。どこへ向かうともなく歩いていたところ、会社の後輩と会った。後輩とはいえ、人が毎年た…
会社の真向かいにキャバクラができた。泊まり込みで働いた翌朝ぼくは倒れこむようにその店に入った。店には扉がなくフロアに入ると低い丸テーブルとそれを囲む赤いビロードのソファとの組み合わせがいくつか目に入った。客は一人もいなかったが男と女の店員…
スーパーのカゴを乗せるカートを押してエスカレーターで上の階へ登っていた。そこは巨大なショッピングモールの一部のようだった。気がついたら空港の滑走路にいた。ぼくは近くにあった飛行機に乗った。タラップにはエレベーターもエスカレーターもなかった…
旅行に来ていた。とりたてて目立つものもない土地で草の葉を踏んで歩いていった。川だか用水路だかを横切った。その周りだけが白い石に覆われていた。暑くも寒くもなかったが、快くもなかった。Kという女の子とホテルに泊まった。石で建てられた陰鬱なホテル…
ぼくは、池袋北口の喫茶店で、周りを中国人に囲まれて、萩原朔太郎の詩を、読んでいた。ついさっき、サンシャイン通りの端のブックオフで買ってきた、萩原朔太郎の、詩集を、読んでいた。その他、本は、いろいろ買った。ニーチェと、三島と、ルバイヤートと…
高校の同級生達たちと坂を歩いていた。そこは田舎で、建物らしきものといえばぽつぽつと木造の平屋が目に入るくらいで、5月の晴天の空と、はるか先までつづく坂道がどこまでも見渡せた。淡青色の空に白い大きなひとかたまりの雲が垂れ込めていた。まるで遠足…
ぼくはどこの誰だか知らない男女数人と共同生活をしていた。部屋がいくつかあった。木造の古いアパートのようだった。広い居間があり、安っぽい箪笥があった。ぼくは居間の隣の2畳ほどの部屋でレム・コールハースの本を読んでいた。すぐそばに若い女がいて、…
エスカレーターに乗っていると何気なくその黒さが目についた。「エスカレーター・は・黒い・のだ」それはぼくにとっては新しい真理だった。エスカレーターは、黒く、その縁は、黄色いラインで、彩られていた。でもぼくは、その、ぼくにとっての新しい真理を…
ぼくが電車に乗っている時に雷が鳴った。とても大きな雷で電車の屋根に槍でも降り注いだようだった。ぼくはBOSEのヘッドホンでトーキング・ヘッズの「サイコ・キラー」を聞いていた。クリス・フランツの律儀なビートがディビット・バーンによる印象的なフラ…
こんな夢を見た。下北沢の駅の近くの坂道の途中でのど自慢のような大会が開催された。道の途中にベニヤ板とブルーシートを使って屋根と壁が設けられていてそこが会場だった。坂道に作られていたので客席はゆるやかな段々になっていて、舞台は下の方にあった…
こんな夢を見た。派遣の人がどうしても1人足りない。僕はその1人を探していた。僕1人で探してみた。でもなかなか見つからなかった。他の営業にも探してもらうように頼んだ。でも全然見つからなかった。前日になってもやはり1人たりない。僕は頭を抱えていた。
幸せになることは簡単なのだ。そのためには、教育にお金をかけられる家に生まれて、いい大学に入れる頭の良さをもち、人並み以上の見た目で、家庭に問題がなく、素直に育ち、コミュニケーション能力を順調に伸ばし、社会のルールを完全に遵守して、社会から…
仕事が始まるのが憂鬱だ。いくら休みがあっても満たされない。やってみたいことがたくさんありすぎたということではなく、一日を無為に過ごすという最上の贅沢はいくら楽しんでも楽しみきれないからだ。もしもぼくの労働時間やストレスなどがまともなもので…
親ニモマケズ友ニモマケズ国ヤ社会ノ圧力ニモマケヌ確固タル理想ヲモチ働カズ決シテ稼ガズ生活保護ヲモラッテヰル一日ニ松屋ノ牛丼ト味噌汁ト少シノ野菜ヲタベアラユルコトヲオ金ヲカンジョウニ入レズニヨクミキキシワカリソシテワスレズ東京ノ果テノ町ノ外…
【「上質な暮らし」って、なんだろう。】もちろん、決まりきった答えは、ないとは、思うけど、「自分なりの、満足感」を得られるがポイントなのは、間違いが、無さそうだ。仕事や、趣味だけでなく、「聞く音楽」や、「カバン」、「夜の暮らし」など、特別に…
ぼくは、ザ・ポップ・グループを、聞きながら、渋谷を歩いていた。そこは、センター街だった。ぼくは、マスクを、していた。喧騒の中で、ぼくだけが、自由だった。ぼくの耳は、ギターの弦が、空間を斬る音と、ベースとバスドラムが、空気を蹴り出す音しか、…
春の嵐が吹いて、ぼくは、ヘッセの小説を、思い出した。営業の途中に、とある大学の、キャンパスを通った。桜の花はまだ散ってはいなかった。入学式を終えたばかりの新入生達が、なにかが始まるのを待っていた。サークルの勧誘が行われていた。キャンパスは…
東京駅で新幹線に乗った。車両は山手線よりも高い高架の上を走った。有楽町や新橋、汐留に、気が狂っているような外観の高層ビルが立ち並んでいるのがよく見えた。たまたま車内販売がやってきた。弁当を買っていなかったので、カツサンドとお茶を買い、簡単…
ここ数ヶ月、〈健康で文化的な最低限の生活〉というものを1日たりとも過ごせていない。平日は4時間を超える残業が常だし、休日の半分以上は仕事で潰れている。たまの休みも寝て過ごしたりするし、体調がすぐれず、また、仕事のことが頭の片隅に常にあり緊張…
体が、もたない。ここ2ヶ月くらい、ずっと働きづめだった。休日もなければ、もちろん定時で帰れる日もなく、毎日、5時間ほどのサービス残業をして、夜の食事は、自炊する体力が残っていないし、まともな店も開いていないので、毎晩、すき家で済ませていた。…
毎日4時間以上サービス残業して、その上、毎週、休日出勤していると、判断力が鈍り、仕事のクオリティーが、下がってしまう。そうすると、なんとか仕事を終わらせても、不備が見つかることが多く、他の社員の前で詰められたり、フォローのための新しい仕事を…
仕事の量が、多すぎる。営業もそうだし、資料作成の依頼が多すぎる。その上、定時内では、後輩への仕事の指示や、相談などもあり、少しも、自分の仕事が、進まない。本来の自分の仕事である営業を進めたいが、その時間が資料作成で潰れてしまう上に、大事な…
毎日4時間以上残業していて、そんな生活が7年も8年も続くと、頭がおかしくなってくる。本を読んだり音楽を聞いたりといった自分がやりたいことができないどころか、休息の時間すら足りず、ただただ疲弊していくばかりである。仕事以外の要素が、人生から消え…
ぼくのような人間には、死ぬほど働かなくては、年収を、順調に、増やすことは難しいだろう。あまり、希望がもてない。フリーター期間があったりする人間が、多少なりとも人間的な生活を送りながら、かつ、年収を増やしていけるとは、思えない。そんな人間は…
会社では、なんとかして、売り上げを立てなければならないが、そのための、労働量も、やる気も、全然、追いつかない。売り上げのノルマは、毎年、1.5倍以上に、どんどん増えているが、ついていくのが、難しい。がんばって働いても、働ける時間には限界がある…
「私のこと、都合のいい女だと、思ってる?」 彼女は言った。ぼくたちは地下鉄日比谷線の神谷町駅から地上に出て、日比谷通りを虎ノ門方面へ向けて歩いていた。ぼくたちは不幸にも8月いっぱいでの取り壊しが決定されたホテル・オォクラ(ホテル・オークラ)…
一年を通じて、忙しくなかったことが、ほとんど、ない。今日こそは、早めに帰ろうと決意していたが、オフィスを出たのは、九時を、過ぎていた。社会人になって間もないころは、朝八時か夜九時まで働くということが、とても辛く、会社を出たあとで、気が狂い…
その日、ぼくはブルックス・ブラザァズ社のとても素敵なスゥツを着ていた。それは一見しただけでは取り立てて特徴のない、ノッチド・ラペルのなんの変哲もないスゥツだった。おそらく普通の女の子であれば、路傍のセイタカアワダチソウ適度にすら気にとめな…